お名前は?
「2012 JET日本語学校 スピーチコンテスト 優秀賞」
張 仕穎 (台湾)
皆さんが日本へ来た後、初めて会った人にどんな質問を聞かれましたか?「お名前は何ですか?どこから来ましたか?今はどこで勉強していますか?」など、いろいろな質問を聞かれたでしょう。質問の内容は相手によって違いますが、その中で絶対聞かれる質問は一つ、「お名前は?」。
そうですね、我々人間にとって他の人と付き合いたいなら、最初相手の名前を聞かなければなりません。名前を知らない上で、次の会話はなかなか進められないでしょう。たとえば、友達を食事に誘いたい時、
「あなた、今お腹が空いていますか?私と一緒にご飯を食べませんか?」
「あなた、何を食べたいですか?」
二人称を使って話すと距離感があって、雰囲気も変になってしまいます。
それに対して、名前を適当に使えば相手との距離が短くなります。
さっきの会話をもう一度想像してください。もし次のようになれば、
「ナミちゃん、スピーチ大会終わった後、僕と一緒にご飯を食べない?」
「ヤだ」(客席からクラスメイトの声)
そうですか…。やはり、断られてしまいましたね。
しかし、皆さん感じますか? こういう風に会話がもっと自然になります。
でも、名前は単に人を識別するための名詞だけではなくて、もっと深い意味があります。名前を作った人は、その名前を使う人に対しての期待を名前の中に含みます。それはどういう意味でしょうか?
一番理解しやすい例は、私たちが生まれた時に、両親から作ってもらった本名です。自分の子供に対しての期待をよく考えて、その思いを含む名前を子供に付けたいという気持ちは、どこの国の人でも同じではないでしょうか?
また、私たちが学校や会社に入り、いろいろな人と付き合った後、新しい名前が出てきます。それは「ニックネーム」です。自分で作るニックネームの場合がありますが、友達に作ってもらうニックネームが多いと思います。
今年、私はAクラスに入って、新しい友達ができて、新しいニックネームも期待していました。「いったい、今度はどんなニックネームをもらうか?」と毎日考えていました。そして、約一週間後、新しいニックネームができました。しかし、それは、「不器用」でした。
そう、「不器用」です。
本当に衝撃を受けました。でも、それだけではなくて、毎日私は朝から「あ、不器用な男が来た」「またお前?不器用!」「不器用、窓から出て行け!」ときつい言葉ばかり言われました。まさかの校内いじめ事件ですよね。そういう原因で、最初のAクラスの生活で、私は毎日落ち込んでいました。
そんなある日、天使が来ました。山口天使(=担任の先生)です。天使が言いました。
「張さん、どうしたの?何があったの?」
「先生、私はクラスメートに不器用と言われました。」
「え?どうして?」
「分かりません。多分私の日本語が下手ですから、話す時よく間違った言葉を使ってしまいました。
そのため、クラスメートに嫌がられました。」
「え?私はそう思わないよ。実はみんなは張さんに頑張ってくださいと言っているよ」
その瞬間、私はとっさに悟りました。そうですね、ニックネームも本名と同じ、使う人に対して作る人の思いが含まれます。また、「友達は自分の鏡」という言葉もあります。自分が見えない間違ったところは、友達からよく見えます。だから、友達が不器用と言う時、実は「張さん、さっきの言葉間違ったよ。早く直して覚えて器用になってください」と言いたいです。
そういうことが分かりましたから、今の私は毎日Aクラスで、クラスメートと一緒に楽しんで日本語を勉強しています。そして、今後もし「お名前は?」と聞かれたら、私も笑いながら次の自己紹介を話せます。
「私は張仕穎と申します。今はJET日本語学校で日本語を勉強しています。しかし、よく間違った言葉を使ってしまったので、友達に不器用とのニックネームを言われました。でも、私は正しい日本語を身に付けたいです。もし間違ったところがあったら、是非教えてください。」
張 仕穎 (台湾)
皆さんが日本へ来た後、初めて会った人にどんな質問を聞かれましたか?「お名前は何ですか?どこから来ましたか?今はどこで勉強していますか?」など、いろいろな質問を聞かれたでしょう。質問の内容は相手によって違いますが、その中で絶対聞かれる質問は一つ、「お名前は?」。
そうですね、我々人間にとって他の人と付き合いたいなら、最初相手の名前を聞かなければなりません。名前を知らない上で、次の会話はなかなか進められないでしょう。たとえば、友達を食事に誘いたい時、
「あなた、今お腹が空いていますか?私と一緒にご飯を食べませんか?」
「あなた、何を食べたいですか?」
二人称を使って話すと距離感があって、雰囲気も変になってしまいます。
それに対して、名前を適当に使えば相手との距離が短くなります。
さっきの会話をもう一度想像してください。もし次のようになれば、
「ナミちゃん、スピーチ大会終わった後、僕と一緒にご飯を食べない?」
「ヤだ」(客席からクラスメイトの声)
そうですか…。やはり、断られてしまいましたね。
しかし、皆さん感じますか? こういう風に会話がもっと自然になります。
でも、名前は単に人を識別するための名詞だけではなくて、もっと深い意味があります。名前を作った人は、その名前を使う人に対しての期待を名前の中に含みます。それはどういう意味でしょうか?
一番理解しやすい例は、私たちが生まれた時に、両親から作ってもらった本名です。自分の子供に対しての期待をよく考えて、その思いを含む名前を子供に付けたいという気持ちは、どこの国の人でも同じではないでしょうか?
また、私たちが学校や会社に入り、いろいろな人と付き合った後、新しい名前が出てきます。それは「ニックネーム」です。自分で作るニックネームの場合がありますが、友達に作ってもらうニックネームが多いと思います。
今年、私はAクラスに入って、新しい友達ができて、新しいニックネームも期待していました。「いったい、今度はどんなニックネームをもらうか?」と毎日考えていました。そして、約一週間後、新しいニックネームができました。しかし、それは、「不器用」でした。
そう、「不器用」です。
本当に衝撃を受けました。でも、それだけではなくて、毎日私は朝から「あ、不器用な男が来た」「またお前?不器用!」「不器用、窓から出て行け!」ときつい言葉ばかり言われました。まさかの校内いじめ事件ですよね。そういう原因で、最初のAクラスの生活で、私は毎日落ち込んでいました。
そんなある日、天使が来ました。山口天使(=担任の先生)です。天使が言いました。
「張さん、どうしたの?何があったの?」
「先生、私はクラスメートに不器用と言われました。」
「え?どうして?」
「分かりません。多分私の日本語が下手ですから、話す時よく間違った言葉を使ってしまいました。
そのため、クラスメートに嫌がられました。」
「え?私はそう思わないよ。実はみんなは張さんに頑張ってくださいと言っているよ」
その瞬間、私はとっさに悟りました。そうですね、ニックネームも本名と同じ、使う人に対して作る人の思いが含まれます。また、「友達は自分の鏡」という言葉もあります。自分が見えない間違ったところは、友達からよく見えます。だから、友達が不器用と言う時、実は「張さん、さっきの言葉間違ったよ。早く直して覚えて器用になってください」と言いたいです。
そういうことが分かりましたから、今の私は毎日Aクラスで、クラスメートと一緒に楽しんで日本語を勉強しています。そして、今後もし「お名前は?」と聞かれたら、私も笑いながら次の自己紹介を話せます。
「私は張仕穎と申します。今はJET日本語学校で日本語を勉強しています。しかし、よく間違った言葉を使ってしまったので、友達に不器用とのニックネームを言われました。でも、私は正しい日本語を身に付けたいです。もし間違ったところがあったら、是非教えてください。」