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私と日本語、そして韓国語

― 日本語学習から考えた韓国の言語政策 ―

崔 鎭守(韓国)

 私と日本語の付き合いは長い。昔からゲーム好きの私はゲームを通じて初めて日本語と出会った。当時のゲームは全部と言ってもいいぐらい日本のゲームしかなかったので、私はいつかは自分の力でゲームのストーリーを全部理解してやるという夢を抱き、日本語の勉強を始めた。しかし、そもそも日本語の勉強が好きなわけではなかったので、私はいつも平仮名とカタカナの段階で苦戦していた。根性のない私の性格から見ると、最初の段階でつまずいたら普通諦めたはずなのに、諦めるどころか、私は一人で勉強するのでは駄目だと思って、ソウル外国語高校に進学し、本格的に日本語を学び始めた。高校の時からは日本語はゲームをするための手段ではなくなった。頭のおかしい人だと思われるかもしれないが、日本語がゲームより好きになった。私の高校は外国語高校であったため、他の高校にはめったにない日本人教師の会話授業があった。その時、初めて外国人と話してみたが、異国の言葉で相手とお互いの文化や社会について意見を交わすのが面白くて面白くてたまらなかった。今考えると、それほど日本語に対する愛情があったからこそ、日本留学という選択に迷いがなかったのかもしれない。無論私にも日本の大学を出て、良い会社に就職したいという現実的な目標がある。だが、それだけが私を日本語の勉強に駆り立てている理由ではない。日本に来てから、私が昔から韓国語の欠点として思っていた問題が浮き彫りになったのだ。ここではそれについて詳しく書きたい。


 韓国人だったら皆、受験の勉強をする時、苦労した覚えがあるだろう。私も新しい概念や教科書に載っている単語を覚えることで苦労した記憶がある。こんな変な言葉が韓国語にあったっけ…。なぜ学者たちはこんなに意味不明な言葉を作ることが出来たんだろう。私は教科書を見るたびにこのような疑問を抱きながら勉強をしてきた。でも、その時はそれについてあまり深く考えず、偉い学者さんが作った言葉だからそのように作った理由があるはず、ただ俺が知らないだけだと思い込んでいたが、日本に来て「日本留学試験」の「総合科目」を勉強してからその理由が明らかになった。私は「総合科目」の参考書で『扇状地(せんじょうち)』という単語を見て驚いた。「扇状地:沖積平野の一種で、谷の出口から扇形に平野が広がる地形。」その単語の漢字を韓国式の音読みで読むと、私が高校時代、変な単語だなと思いながら覚えていた『ソンサンジ』になったからだ。その後、参考書の地理用語を韓国語に直訳してみると、驚くほど韓国の教科書とそっくりだった。目からうろこであったが、韓国の学者たちにがっかりした。確かに、反日感情から日本語を外来語として使うことに反対する韓国人もいるかもしれない。だが、ここで私が主張したいのはそれほど浅いナショナルリズムによるものではない。問題は、いま韓国語として使われているそのような言葉が全く意味のない単語になっているということだ。

 初めてそのような学術用語を翻訳した学者たちは、韓国も漢字文化圏の国だから日本が西洋の言葉から翻訳した用語をそのまま韓国の音読みで直しても大丈夫、という考えがあったのだろう。しかし、それは大間違いである。昔はそうだったかもしれないが、今日の韓国は漢字とは無縁の国である。現代の韓国人が書ける漢字は日本の小学生の低学年の中でも本当に易しい漢字(水、山、日、火など)と自分の名前ぐらいだ。その中では自分の名前も漢字で書けない人が相当いるが、それは日本の芸能人がクイズ番組に出て易しい漢字を間違えることより恥をかくものではない。そのため、日本人や漢字を知っている人が『扇状地』のような単語を見て扇の形の土地を連想するのは自然なプロセスであるが、韓国人の頭の中には何の意味も浮かばないのである。もし、印刷屋さんが『ソンサンジ(扇状地; 선상지)』のことを間違って『ソンチャンシ(선창시)』『ソンジサン(선지상)』と印刷しても我々はその単語について違和感を感じない。このような単語が高い比率で教科書に載っているというのは非常に深刻な問題に違いない。

 それでは、どうしたらこのような問題を解決できるか。韓国語に詳しくない人から見ると、単純に学校で漢字を教えれば済むだろうと思う人がいるかもしれない。だが、それはむしろ問題を悪化させる恐れがある。韓国人にとって漢字教育の強化は韓国語以外に第二公用語を採用することと同じぐらいの拒否感を持つものである。そして、韓国語の性質上、漢字教育は韓国人の頭に浸透しにくい。その理由は韓国には、漢字を単語として使う場合、訓読みで読む場合がないからだ。ひとつ例を挙げてみよう。『催促(さいそく)』。この漢字は韓国にもある。しかし、日本語と違うところは『催』と『促』をそれぞれ動詞として使う場合がないということだ。日本人はこの漢字を動詞(催す、促す)にも使う。そのため『催促』を見て『催して促す』という意味を連想するのは難しくないが、韓国人は単語を見てそのように連想するのが難しい。確かに、韓国の授業の中でも漢字科目はある。だが、韓国の学生の頭は試験の次の日、また白紙状態になる。それは韓国人が馬鹿だからでも漢字の教育がちゃんと機能していないわけでもない。私はその原因が現韓国語と漢字の矛盾に起因するものだと思う。そのため、単純に漢字の教育では解決にならないのだ。

 日本は明治維新後、西洋からさまざまな言葉を日本語に翻訳して取り入れてきた。当時はなかった概念も、新しい漢字の言葉を造って、教育の中で定着させていった歴史がある。私はこのプロセスに興味を持っている。韓国においても学者等のコンセンサスを得て、時間をかけて言語教育の段階から改革する必要があると思う。まず問題を認識し、韓国語としてもちゃんと意味を持つ用語を造るのが大事である。無論、言葉を改革するというのは学者が何人か集まって決められるほど簡単ではない。しかし、言葉を学ぶ段階の若い学生らに教えれば、20 年か30 年後には、『ソンサンジ』のような意味不明の言葉で苦労する人はなくなると信じる。重要なのは変化を恐れることではなく現実の問題を直視して解決に挑むことである。これが韓国語と日本語を愛する私の問題意識であり、皆に話したかったことである。

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